職権解散『平成2年法律第64号附則第19条第1項の規定により解散』

ある有限会社の女社長からのご相談。

「もう、ずっと放置してある会社の預金が下ろせないの。銀行に行ったら、なんだか小難しい事言われてしまって・・・」

謄本を取り寄せてみたら、その他の事項欄にこんな記載が・・・。

 

『平成8年6月1日平成2年法律第64号附則第19条第1項の規定により解散』

 

今でこそ、会社は資本金1円でも設立できますが、それまでは、株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が要求されていました。

平成2年の商法改正により、改正法施行時点で最低資本金に達しない会社については、期限である平成8年3月31日までに最低資本金に達しない場合は、解散したものとみなされ、職権でこのような登記がされました。

解散しても、会社財産を清算し『清算結了』の登記をしない間は会社は存続しています。なので、登記簿も閉鎖になっていないのですね。

 

問題の銀行マンには、この登記簿を見せて、抹消されている旧取締役が法定清算人という地位にあることを説明し、預金を下ろす権限がある事を話しました。

そうですよね、一見、抹消されている代表取締役が預金下ろしにきても、は?という事だったんでしょうね。

清算人の登記もしてないですし。

銀行の方でも納得していただき、一件落着、良かったです!